作家・東峰夫 公式ブログ

東 峰夫 小説家。第33回文學界新人賞受賞、第66回芥川賞受賞。 著書: オキナワの少年(1972) 、ちゅらかあぎ(1976)、大きな鳩の影(1981) 、ママはノースカロライナにいる(2003) 、貧の達人(2004)、『現代の神話シリーズ』執筆中

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

質を売って量を売るな

「大事なことがまだ二つある」 「え?何でしょう?」 「それは質を売って量を売るなちゅうことじゃ。昔々、あるところに石屋がおってな。山から石を切り出して売っておった。良質の石はよく売れたものじゃから、切りにきり売りにうったら石が無うなってしも…

水槽の中の天魚

夢テレビを見てあの世の異境に潜入し、そこで体験したことを記録し、それをつづり合わせて現代の神話物語とするには、多少の潤色が必要なようだ。もっとも【潤色】には[事実を誇張したり、事実でないことを付加したりすること]という意味もある。しかしぼ…

なぜ夢を見るのか?

この作品は夢テレビで見た情報を題材にして書いた物語である。ちょうどよい具合にぼくには現実に絶望しているという好条件があった。自分のどう仕様もない前途を悲観して、頭から夜具をひっかぶってふて寝を決めこむことがしばしばであったのだ。そのような…

夢テレビについて

夢の中でむなしく情報を放散させていたテレビは、いろいろと考えさせてくれた。通りすがりに点けっぱなしのテレビを見たという、たったそれだけの夢だったのだが、じつはある特別な情報を伝えていたのだ。 「夢テレビの情報を無駄にするな」というのがそれで…

進化?それは変身のこと?

そう。それは転身のことでもある。人間の肉体は動物から進化した。そのことは知っているね?そして光の天使と共振共鳴しながら知能と情能を発達させて人の子となったのだ。しかし細胞には遺伝情報が刻印されているので、迂闊にすると増長し肥大して、畜生道…

世の中には動物みたいな人が大勢

「世の中には動物みたいな人が大勢いるわよね?」と白日夢に母が現れてそういった。「だからだよ、だからいっているじゃないか!外見は人間だけど内面の性質を見ると動物的なのがいっぱい。それが保守本流になってるよ。咆哮恫喝する獅子人間、強欲で狡猾な…