(山に入って思索したい)と思った。それで朝露にぬれた畔道を通って山へ向った。考えるべきことは山ほどあった。だから山で思索したいというわけではなかったが、とにかく自ずと足は山へと向ったのだ。 明け方の夢で、ユング師が彼の書斎にあった羊皮紙の稀…
櫓にのぼって見ると、北の方角に亜熱帯の密林が見渡せた。わが島にこんな雄大な原生林があったとは思いもよらなかった。原始の森は霧をたなびかせて、はるか遠くまで続いていた。と、櫓の上に父が現われたのだ。「原生からの密林を眺めているのかね?」と父…
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