作家・東峰夫 公式ブログ

東 峰夫 小説家。第33回文學界新人賞受賞、第66回芥川賞受賞。 著書: オキナワの少年(1972) 、ちゅらかあぎ(1976)、大きな鳩の影(1981) 、ママはノースカロライナにいる(2003) 、貧の達人(2004)、『現代の神話シリーズ』執筆中

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

草と知識と比喩は等号

あえていうけれどかつて羊だった頃、ぼくは比喩としての知識の草をたくさん食べた。草食獣としてさまざまな草を食べながら草原を放浪したんだ。だから知識の草については、辞典に載ってないことだって知っている。じつは草と知識と比喩は等号で結びつく三つ…

かつてぼくは羊だった

そう、かつてぼくは羊だった。フカフカの体毛におおわれた白いヒツジ。メェーと鳴くあれだ。これから羊だった頃の思い出を記憶の中から引っぱり出して話そうと思う。記憶の中には、あの頃のさまざまな体験がつまっている。細切れの体験だが、ちゃんと保管さ…

旗揚げの準備はできている

北海道新幹線の夢。 ぼくは新幹線に乗った。列車は北へ向かっていて、窓の外は陽光に照らされて明るかった。 「雲一つなく晴れている」と乗客の誰かがいった。と、車内アナウンスがあって、こういうのだ。 「今日は記念すべき日です。さて、何の記念日でしょ…