作家・東峰夫 公式ブログ

東 峰夫 小説家。第33回文學界新人賞受賞、第66回芥川賞受賞。 著書: オキナワの少年(1972) 、ちゅらかあぎ(1976)、大きな鳩の影(1981) 、ママはノースカロライナにいる(2003) 、貧の達人(2004)、『現代の神話シリーズ』執筆中

2016-07-17から1日間の記事一覧

水槽の中の天魚

夢テレビを見てあの世の異境に潜入し、そこで体験したことを記録し、それをつづり合わせて現代の神話物語とするには、多少の潤色が必要なようだ。もっとも【潤色】には[事実を誇張したり、事実でないことを付加したりすること]という意味もある。しかしぼ…

なぜ夢を見るのか?

この作品は夢テレビで見た情報を題材にして書いた物語である。ちょうどよい具合にぼくには現実に絶望しているという好条件があった。自分のどう仕様もない前途を悲観して、頭から夜具をひっかぶってふて寝を決めこむことがしばしばであったのだ。そのような…

夢テレビについて

夢の中でむなしく情報を放散させていたテレビは、いろいろと考えさせてくれた。通りすがりに点けっぱなしのテレビを見たという、たったそれだけの夢だったのだが、じつはある特別な情報を伝えていたのだ。 「夢テレビの情報を無駄にするな」というのがそれで…