[描く]と[書く]
そのことについて考えるよう、しきりに促されていた。[描く]と[書く]の類比について熟考しなければならない。ぼくに憑いた言霊にそれを督促されているのだ。
描くとは筆や刷毛などでペインティングすることだ。キャンバスや画用紙にペイントするのである。建物にペンキを塗ることもペインティングという。塗装工のことをペインターともいう。他方、書くといえばノートにインクで記すことだ。英語ではライティングという。著述家のことをライターともいう。
確かにそれは似ている。ペンを用いるところは違うが、昔、日本では文字も筆で書いていたのであった。いずれにせよ、対象を描くか書くかして表現し、紙の上に定着するわけである。定着するという意味では同じである。もちろん文字で定着するか、塗料で定着するかの相違はあるが、インクのことを塗料と見なせば同じことになる。
だが、文字を塗料と見なすことはできるであろうか? インクや墨汁や、絵ノ具やペンキは塗布材料なのだが、文字言語もそうであろうか? 言語を四八色の絵ノ具と見なせるであろうか? いや、言語は絵ノ具じゃないと思いたいところだが…と考えたのだった。
~天から町がふってくる[新しい市民生活場の理念](執筆中)より~