作家・東峰夫 公式ブログ

東 峰夫 小説家。第33回文學界新人賞受賞、第66回芥川賞受賞。 著書: オキナワの少年(1972) 、ちゅらかあぎ(1976)、大きな鳩の影(1981) 、ママはノースカロライナにいる(2003) 、貧の達人(2004)、『現代の神話シリーズ』執筆中

死人に口無し?

《死人に口無し》という諺がある。それをどう使うかというと、「目撃者は殺してしまえ。死人に口無しだ」とか、「死人は釈明もできないから、真相は謎のままに残る」というふうに使う。
しかし本当に《死人に口無し》であろうか? ぼくは『ユパの博物誌』で[心霊の存在証明]をやったので、それは違うと言いたい。《死人に口無し》と思う者は、無神論者か唯物論者であろう。
金銭崇拝教の神殿が銀行である。金銭崇拝も信教の一種なのだ。しかし「あなたの信教は?」と訊かれて誰も「はい。金銭崇拝教です」と答える者はいない。何故かといえば、それは本当の神信心に背反していることを知っているからである。《金銀木石を偶像化して崇拝してはならない》と宇宙神ヤハウェは戒めた。ゆえに金銀を崇拝すれば、偶像崇拝者として咎められることになる。それで死人は夢枕に立って語るのだ。ぼくは睡眠冥想で、その釈明を聞いた。それを書いたのが『ユパの博物誌』の内容となっている。
2016年8月21日 東 峰夫