作家・東峰夫 公式ブログ

東 峰夫 小説家。第33回文學界新人賞受賞、第66回芥川賞受賞。 著書: オキナワの少年(1972) 、ちゅらかあぎ(1976)、大きな鳩の影(1981) 、ママはノースカロライナにいる(2003) 、貧の達人(2004)、『現代の神話シリーズ』執筆中

母と地均しの現場

「平和と安寧の基礎は何だろうか?」とまずは想った。その答えはすぐに出てきた。
「それは四つの愛である」と。それがなくて平和も安寧もぜったいに実現しないはずだ。[心をつくし思いをつくして、主なる神を愛せよ]と兄は教えてくれた。また[己のごとく隣人を愛せよ]とも教えてくれた。それが親子愛と隣人愛である。その二つの愛に、結婚愛と主従愛を加えて、それを四隅の基礎とすべきではなかろうか?と推量した。
 基礎にそって壁が築かれる。それは内部の平安を守るための防壁である。城塞のような構築物だから防壁も必要であろう。とにかく都市の基礎は[四辺に据えた四つの愛]ということにして、とりあえず固めておいたのだった。

~天から町がふってくる[新しい市民生活場の理念](執筆中)より~