作家・東峰夫 公式ブログ

東 峰夫 小説家。第33回文學界新人賞受賞、第66回芥川賞受賞。 著書: オキナワの少年(1972) 、ちゅらかあぎ(1976)、大きな鳩の影(1981) 、ママはノースカロライナにいる(2003) 、貧の達人(2004)、『現代の神話シリーズ』執筆中

大豆と[忠実]

大豆は忠実(まめ)。健康で丈夫という意味である。それはよいことだが、ただし誰に対して忠実なのか? ということに関しては問われてしかるべきであろう。

 

・・・

 

(かつては自分も父といっしょにカーペンターとして基地内で働いた。けれども頭上を戦闘機や爆撃機が発着するのを見て、「果たしてあれは正義なのか?」と疑問に思ったものだ。食うために働くというのは、それはそれで当然のことだが、「しかし雇い主が悪事を働く者である場合は、彼に忠実である必要はないのではないか? 悪事への荷担になるからだ」

と、そんなふうに考えて基地の仕事をやめたのだった)

それ以来、仕事に就くたびに雇い主のことを詮索するようになった。

(この人は何を目的に事業をしているのか? この人のもとで忠実に働くのはよいことか?)と考えるようになったのだ。

 

~ 『奥村にて』真実の成果について(執筆中)より~