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作家・東峰夫 公式ブログ

東 峰夫 小説家。第33回文學界新人賞受賞、第66回芥川賞受賞。 著書: オキナワの少年(1972) 、ちゅらかあぎ(1976)、大きな鳩の影(1981) 、ママはノースカロライナにいる(2003) 、貧の達人(2004)、『現代の神話シリーズ』執筆中

なぜ人殺しは、いけないのですか?

道理の道筋については誰もがよく知っているつもりでいるが、じっさいのところはどうであろうか? 「なぜ人殺しは、いけないのですか?」と小学生に質問されるとシドロモドロになってしまう先生だっているのだ。知っているはずなのに説明するとなると難しいの…

[描く]と[書く]

そのことについて考えるよう、しきりに促されていた。[描く]と[書く]の類比について熟考しなければならない。ぼくに憑いた言霊にそれを督促されているのだ。 描くとは筆や刷毛などでペインティングすることだ。キャンバスや画用紙にペイントするのである…

天空の建設用地

空想をバカにしてはいけない。そんなことをしたら想像力が衰退して、創造力を失ってしまう。心理次元では想像はそのまま創造に結びつくからである。 魂としての青年時代にも、ぼくは飽きるほど夢想したものであった。いうまでもないことだが、青年の夢想には…

母と地均しの現場

「平和と安寧の基礎は何だろうか?」とまずは想った。その答えはすぐに出てきた。「それは四つの愛である」と。それがなくて平和も安寧もぜったいに実現しないはずだ。[心をつくし思いをつくして、主なる神を愛せよ]と兄は教えてくれた。また[己のごとく…

父が見せてくれた図面

ぼくは夢見る者である。それは将来の夢という意味での夢である。昼日中でも白日夢のように夢見ている。いつも未来像(ビジョン)を見ているのだ。もちろん睡眠中の夢だってよく見るのである。一日に十時間も眠って、夢を見ては記録し、そしてまた眠る。睡眠瞑…

天から町がふってくる

もしも天から町がふってくるとしたら、どういうことになるであろうか?「バカバカしい。そんなことありえないだろ?」と誰もがいうに違いない。「何? 天から町がふってくるだと? 愚にもつかないことだ」と嘲笑する者もいるであろう。しかしながらヨハネの…

果樹と[果物]

《野生の樹木から、よい実を結ぶよい木を選んで、精神の畑地に植えて、手塩にかけて改良したのが学識果樹である。その果樹の成果を[真実]という。真実が現実に優るのはいうまでもない。じっさい現実の成果は酸っぱかったり渋かったり、時には虫食いだったり…

大豆と[忠実]

大豆は忠実(まめ)。健康で丈夫という意味である。それはよいことだが、ただし誰に対して忠実なのか? ということに関しては問われてしかるべきであろう。 ・・・ (かつては自分も父といっしょにカーペンターとして基地内で働いた。けれども頭上を戦闘機や爆…

麦と[誠実]

(良識というのは、野の知識の草から、良いのを選んで精神土壌の田畑に植えつけ、手塩にかけて改良して作った物=作物である。米や麦や豆がそれに相当する。ゆえに米には篤実という意味があり、麦には誠実という意味があり、豆にも忠実という意味がある。 「…

米と[篤実]

(山に入って思索したい)と思った。それで朝露にぬれた畔道を通って山へ向った。考えるべきことは山ほどあった。だから山で思索したいというわけではなかったが、とにかく自ずと足は山へと向ったのだ。 明け方の夢で、ユング師が彼の書斎にあった羊皮紙の稀…

密林と[認識樹木]

櫓にのぼって見ると、北の方角に亜熱帯の密林が見渡せた。わが島にこんな雄大な原生林があったとは思いもよらなかった。原始の森は霧をたなびかせて、はるか遠くまで続いていた。と、櫓の上に父が現われたのだ。「原生からの密林を眺めているのかね?」と父…

死人に口無し?

《死人に口無し》という諺がある。それをどう使うかというと、「目撃者は殺してしまえ。死人に口無しだ」とか、「死人は釈明もできないから、真相は謎のままに残る」というふうに使う。しかし本当に《死人に口無し》であろうか? ぼくは『ユパの博物誌』で[…

雲の屹立

現代神話を書こうと志す作家にとって、哲学や心理学は必修科目であった。それゆえこれまでずいぶんと観念の川や情念の雲について哲学してきたものだ。[不可知の雲]といわれている対象に多くの時間を費やして挑んだのである。世間の学者で雲について哲学し…

ユパの博物誌

この本のタイトルは[ユパの博物誌]。それというのは、この本をリュックに入れての冥界旅行だったからである。主人公は旅の間中、この本を読んだ。書物が一冊もない飯場小屋で、あるいは一時期だけ住んでいた学生寮で、バイブルとして読んだのである。その結…

トラウマの古傷

ヒト化動物には自らの生活環境に対する主観的な認識があって、その成果が現実となっている。それゆえ社会観も人生観も世界観も単一ではない。各々の観念によって多くの世界が並存してあるのだ。もっといえば魚人間には魚的現実があり、獣人間には獣的現実が…

泉の側の草庵

自由奔放なる空想ほど楽しいことはない。光子天使の活動と同一のレベルにあるからだ。光子天使たちは意識の大気中を飛翔して活動している。天使たちにまじって飛翔すれば太陽神の理念(イデア)が分け与えられるというもの。かくして着想や構想、回想や予想、…

質を売って量を売るな

「大事なことがまだ二つある」 「え?何でしょう?」 「それは質を売って量を売るなちゅうことじゃ。昔々、あるところに石屋がおってな。山から石を切り出して売っておった。良質の石はよく売れたものじゃから、切りにきり売りにうったら石が無うなってしも…

水槽の中の天魚

夢テレビを見てあの世の異境に潜入し、そこで体験したことを記録し、それをつづり合わせて現代の神話物語とするには、多少の潤色が必要なようだ。もっとも【潤色】には[事実を誇張したり、事実でないことを付加したりすること]という意味もある。しかしぼ…

なぜ夢を見るのか?

この作品は夢テレビで見た情報を題材にして書いた物語である。ちょうどよい具合にぼくには現実に絶望しているという好条件があった。自分のどう仕様もない前途を悲観して、頭から夜具をひっかぶってふて寝を決めこむことがしばしばであったのだ。そのような…

夢テレビについて

夢の中でむなしく情報を放散させていたテレビは、いろいろと考えさせてくれた。通りすがりに点けっぱなしのテレビを見たという、たったそれだけの夢だったのだが、じつはある特別な情報を伝えていたのだ。 「夢テレビの情報を無駄にするな」というのがそれで…

進化?それは変身のこと?

そう。それは転身のことでもある。人間の肉体は動物から進化した。そのことは知っているね?そして光の天使と共振共鳴しながら知能と情能を発達させて人の子となったのだ。しかし細胞には遺伝情報が刻印されているので、迂闊にすると増長し肥大して、畜生道…

世の中には動物みたいな人が大勢

「世の中には動物みたいな人が大勢いるわよね?」と白日夢に母が現れてそういった。「だからだよ、だからいっているじゃないか!外見は人間だけど内面の性質を見ると動物的なのがいっぱい。それが保守本流になってるよ。咆哮恫喝する獅子人間、強欲で狡猾な…

草と知識と比喩は等号

あえていうけれどかつて羊だった頃、ぼくは比喩としての知識の草をたくさん食べた。草食獣としてさまざまな草を食べながら草原を放浪したんだ。だから知識の草については、辞典に載ってないことだって知っている。じつは草と知識と比喩は等号で結びつく三つ…

かつてぼくは羊だった

そう、かつてぼくは羊だった。フカフカの体毛におおわれた白いヒツジ。メェーと鳴くあれだ。これから羊だった頃の思い出を記憶の中から引っぱり出して話そうと思う。記憶の中には、あの頃のさまざまな体験がつまっている。細切れの体験だが、ちゃんと保管さ…

旗揚げの準備はできている

北海道新幹線の夢。 ぼくは新幹線に乗った。列車は北へ向かっていて、窓の外は陽光に照らされて明るかった。 「雲一つなく晴れている」と乗客の誰かがいった。と、車内アナウンスがあって、こういうのだ。 「今日は記念すべき日です。さて、何の記念日でしょ…